Fat Pop Tim’s LISTENING PARTY

(2021年5月20日)

5月12日に発売されたウェラーのニューアルバム『Fat Pop』ですが、
日本では輸入盤の発売が遅れて明日発売のところも多そうです。

この『Fat Pop』が Charlatans のTim Burgessが主催しているTim’s twitter listening partyに選ばれました。
ウェラー本人がツイッターで曲の解説やアルバムについて、今後の活動などについて書いていますので、翻訳を載せます。

良かったら、『Fat Pop』を聞きながら楽しんでください。

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1.『Cosmic Fringes』

「Cosmic Fringesは、もともとはストゥージーズっぽい曲だったんだ。パンキッシュなギターサウンドだった。ただ、あまりうまくいかなかったから、もっとエレクトリックな感じにしたんだよ。あと、ちょっと薄っぺらなサウンドにもした。」

「カウチポテト的な人間をもとにして作った曲だよ。意見や考えや態度がくそ見たいな奴らで、やることといえば、ネットで怒りをぶちまける以外ないみたいなね。」

「まぁ、面白くて馬鹿げた曲といったところかな。グラムロックぽさも聞けるけど、クラウトロックとかジョルジオ・モロダーぽくもある。モダンなパンクソングだな。」

2.『True』

「Trueは、The MysterinesのLia Metcalfeとデュエットした曲だよ。彼女は素晴らしい。スタジオに来てくれて、一緒に生録をしたんだ。ほんとうに素晴らしい才能の持ち主だよ。」

3.『Fat Pop』

「Fat Popは一番大好きな曲だ。なぜなら、今までとは、とても違った雰囲気だから。」

「この曲は共同プロデューサーのスタン・カイバートが元のトラックを作成して、スタンのサンプリングと俺の演奏だけで作ったんだ。サンプリングは俺の演奏を再構成したものなんだけど。とても、小気味いい曲だね。DJ Muggs的な感じも聞ける。Muggsはサイプレスヒルとかハウス・オブ・ペインとかの楽曲で有名なDJだ。ずっと大好きなDJなんだ。」

4.『Shade of Blue』

「Shade of Blueは、Aメロの歌詞と簡単なアレンジがあったんだけど、Bメロが思いつかなかったんだ。そこに娘のリアがBメロの歌詞を持ってきて、それでBメロのアレンジも思いついた。リアは自分の音楽活動を熱心にしているよ。スティーブ・クラドックがプロデュースしてアルバムも作った。そして、とてもいいアルバムなんだ。」

5.『Glad Times』

「Glad Timesはアルバム『True Meanings』に収録されている「Movin On」と一緒に作曲したTom DoyleとAnth Brownと、今回も一緒に作った曲なんだ。すでに2年ぐらい前に彼らから元のトラックは送られてきていたんだけど、いい感じに作り終えるのに時間がかかっちゃったよ!彼らもすごい才能の持ち主だから、また一緒にやりたいね!」

「マービン・ゲイっぽいグルーヴ感もあっていいね(私自身の感想だけどね)。ソウルフルだ。でも、実はTV番組Jools Hollandでやったシンプルなバージョンの方が好きなんだよね。(そのバージョンはこちらから視聴できます。)」

※ここから、アルバム全体の話や今後の活動の話になります。最後の12曲目だけ最後に解説しています。

「このアルバムと作るぞと皆に呼びかけた時、みんなちょっと懐疑的だったね。逆境的な情勢だったし。共同プロデューサーのスタンは「たくさんのことをやらなければならないぞ」と言ってたけど、「俺が曲を書き始めたときから、ハードワークは始まっているんだ」って伝えたね。」

「本当に大変な作業だったよ。ソングライターじゃないと判りえないことだと思うけど。」

「このアルバムのあとに、またアルバムを作るかどうかは判らないなぁ。今は何とも言えない。だって、16枚目のソロアルバムだよ!自分でも信じられない。最近はアルバムを完成させたら、アルバムリリースのためにいろんなことをやらなきゃなぁと考えてしまうんだ。」

「ここ最近で音楽業界はいろいろ変わってしまった。俺には把握しきれないほどにね。」

「感謝すべきことに、今でも素晴らしい音楽は作られている。それは今後も続いていくはずだ。だけ、ストリーミングやダウンロードが出きてからは、みんな音楽にお金を使わなくなってしまったね。」

「去年の3月に最初のロックダウンが決まった時に、すべてのツアーがキャンセルになってしまった。だから、自由になった時間を賢く使おうって決めたんだ!くそったれ、アルバムを作ってやるって思ったね」

「On Sunsetが完成した時には「Failed」や「In Better Times」とか、4~5曲はすでに出来ていたし、「Testify」、「Fat Pop」、「Glad Times」の未完成のトラックもあったんだ」

「iphoneに断片的なアイディアが大量にあったし、歌詞もあったね。だから、それを集めて完成させた感じだ。ほんとに有り余る時間があったから、よりいろいろと考えられる時間があった。立ち止まって、いろいろ見直してみたんだ。自分自身や自分の身の回りのこととかをね。」

「去年の最初のロックダウンの間に、クリック(メトロノームのようにテンポを保つ機械)を使っていくつかの曲を録音してみたんだ。それを周りのメンバーに送って、彼らは、それを元にそれぞれのパートを録音したんだ。」

「こんな風に録音したのは初めてだったよ。最初のうちは、とてもクールに感じた。まったく別のことに挑戦していたからね。だけど、同じ部屋で音を出して録音する方が絶対に良いよ!」

「配信ライブにも同じことがいえる。みんなでステージに立つのが待ちきれない!」

12.『Still Glides The Stream』

「Still Glides The Streamは、スティーブ・クラドックと一緒に書いた曲なんだ。スティーブが歌詞を書いて送ってくれたんだ。まだアイディアの段階の曲があったんだけど、それにスティーブの歌詞に手を加えてメロティーのアレンジもして作ったんだ。この曲は大好きな曲だよ。スティーブと一緒に曲を作るというのは、とても嬉しいんだ。お互いに誇りに思っているよ。スティーブが何を考えて歌詞を書いたかは分からないけど、俺はこの曲を「移民の労働者が自分たちの町で働いている」というイメージで作っていったよ。」

「俺は、この国にやってくる移民の人たちの生活をイメージしたんだ。俺たちが出すゴミを清掃しているようなね。貧困や戦争によって、自分たちの国から出なくてはいけない。安心や屋根のある家、生活の能力を求めているような人たちをね。」

「移民の人たちが俺たちの仕事を奪ってるみたいな話を聞くけど、笑わせるなって感じだよね。彼らの仕事ってどんな仕事か判ってるのか?道路清掃とか病院の補助スタッフとか、交通整理とか、俺たちがやりたがらない低賃金の仕事なんだよ。だけど、こういった仕事は俺たちの生活では必須なものなんだ。彼らに感謝しなくてはいけないんだよ。『君たちが無視しているものを注視しろ。小さな出来事に偉大なものを見つけるるんだ』(この曲の歌詞の一部)」

「俺が言いたいのは、こういった移民の人たちを無視するなということだ。社会にはすべての人に重要な役割があるんだ。」

「全体的に、このアルバムは力強いアルバムだね。曲つくりにとても多くの時間を割いたしね。(それだけ、時間があったんだ)そして、歌詞や楽曲アレンジに関しては出来るだけタイトなものにしたんだ。」

「今のところ、このアルバムに対する感想はとてもいいね。俺たちはいい仕事をしたってことなんだと思ってるよ。このアルバムでみんなを笑顔にして、いい気持ちにさせられたら嬉しい。だって、こんな時期なんだから、皆がこういったものを欲しているはずだからね!」

以上です。アルバム以外にも踏み込んだいろんなことに内容でした。
移民問題は日本でも問題になっています。ぜひ、アルバム聞いてみてください。