BBC interview

(2014年7月21日)

少し前にBBCのネットニュースに載っていたポール・ウェラーの
インタビューを訳しましたので掲載します。

Iがインタビュア、Wがウェラーです。
インタビューはライブ前に行われました。

I.サウンドチェックを拝見してました。ステージ上でドラムとギターに囲まれているとき、
ここはあなたの自然な居場所といった感じでしょうか?

W.そうだね、ここが縄張りだって感じかな。

I.ライブの前というのはどういった心境なんでしょうか?

W.緊張と興奮を混ぜ合わせたような感じかな。緊張の方が強いけど。
知ってのとおり、長くこの業界にいるけどね、今でも緊張のようなものをライブ前には感じるよ。
おそらく、ライブのある日、朝目覚めた時から、それはある。

I.長くやっているのに何故でしょう?

W.おそらく、永遠になくならないんじゃないかな。それが好きなだろうと嫌いだろうとね。
 だけど、俺は良いことだと思う。緊張があると、自分のやっていることが”締まる”感じするからね。

I.過去15年間のあなたのキャリアを見つめなおすことができる『More Modern Classics』がリリースになります。
 これについては、どう感じますか?

W.歳をとったと感じるよ。この15年間は、他の15年と同じような感じかな。ほんとにあっと言う間だったよ。
 ほんとにそんなに経っちまったとは思えないね。
 そう感じているのが、今回ベスト盤をリリースしようと思った一つの理由でもあるね。
 前回のベスト盤『Modern Classics』から、とてもたくさんの音楽を作ったからね。
 あれは90年代の終わりごろのリリースだったから、それからもほんとに多くの曲を書いてきたよ。

I.あなた自身、この15年間を振り返ると、いくつの違った”ポール・ウェラー”が見えてきますか?

W.おそらく、たくさんだな。この15年間で俺の人生は凄く変わったよ。以前は3人だった子供に4人も加わったんだ。再婚もしたしね。
 でも、本質的な部分は同じだな。曲を書いて、演奏するっていうね。

I.変化に対する欲というものは、どこから来るのでしょうか?

W.おれは、とても飽きっぽいんだよ思う。自分がやっていることに、すぐに飽きちまう。
 俺は他のバンドがやっているようなことはできないよ。同じ曲をいつでも何年でも演奏していくなんてね。  

I.今回のベスト盤は全体的な印象としてはいかがでしょうか?

W.とても良いよ。俺がガキだったころに、たくさんの音楽に触れていたのは、ベスト盤を買っていたからだよ。
 若いころは特にだ。
 フォートップスだろうがスモーキー・ロビンソンだろうがベスト盤は個人の音楽を聴くきっかけだと思う

I.子供がいる男性は面白いことをいろいろと体験されると思います。
 家にいるときの、お気に入りのことはなんでしょう?

W.知ってるだろう。俺は双子の父親だ。過去数か月で300回も「トイ・ストーリー」を見させられたよ。
 でも、おれも好きだよ。とても面白い。

I.あなたは未だに政治的ですか?

W.そうではないと思うよ。多くの人と同じように、俺は政治というものには幻滅したんだ。
 俺は政党の違いなんて、もう言えないよ。ただ、この世界で起きていることには、とても怒っているよ。
 それは、みんなもそうであって欲しいと思う。
 だけど、何をすれば良いのかは判らない。解決方法は知らないんだ。

I.あなたは過去にとても積極的に政治的な活動をしてましたね。

W.そうだね。とくに80年代はそうだった。今とは違ったんだ。なんてったってサッチャー時代だ。
 とても簡単だったよ。サッチャーと共に歩むか、否か。
 シンプルに線が引かれていたよね。だけど、今は誰に違いがわかる?政治家は言ってることは、
 皆同じに聴こえるし、皆同じに見えるよ。あんまり、興味はないな。

  

I.あなたは何度かグラストンベリーに出演されていますが、今年のヘッドライナーが
 メタリカだということについては、どう思われますか?

W.俺はあんまり好きじゃないけど、みんな好きだろう。それを俺は誰に言えば良い?

I.彼らにアドバイスするとすれば何かありますか?

W.長靴を持って行け。俺らがやった時は酷いもんだったよ。ショッキングだった。

I.ヘッドライナーを務められるほどの若手がいないとの声もありますが・・

W.もし、誰も若手をヘッドライナーにしないなら、誰がその若手をしることができるんだ?
 若手はどこでチャンスや経験を手にできるんだい?良いバンドは山ほどいる。
 少なくともメインステージに立てるぐらいはね。ただ、ヘッドライナーにするには客を入れなきゃいけないってことだろうな。

I.もし、”ウェラーフェス”をやるとしたら、誰を選びますか?

W.Villagers、Syd Arthur、Erland and the Carnivalあたりかな。俺が好きなバンドだということだけだな。
 芝にすわって、彼らを見たいと思うよ。ただ、自分が出てもいいな。その方が良いかもな。

I.もし、あなたが大好きなバンドを見に行くとして、バンドにはヒット曲をやって欲しいと思いますか?

W.ヒット曲は聞きたいよ。でも、今、彼らがやっている曲も聞きたい。
 自分たちの今を演奏しているバンドが少ないね。なぜ、こんなに昔の曲のブームなんだ?ほんとに理解できないよ。
 不景気に関係しているのかな?

I.過去にあなたは自身のことを、”新しい技術を嫌う人間”だと表現したことがあります。
 今でもそうですか?それともパソコンを買ったりしていますか?

W.今までにパソコンなんて買ったことないよ。どうやって使うのかも知らないよ。普通のノートで十分さ。
 だけど、妻はとても若いからね。パソコン関係は全部、彼女がやってくれるよ。

I.奥様はどういった形で音楽をきかれているんですか?

W.未だに俺は理解しきれてない。みんなについていくのは大変だね。最近はみんな、iPodみたいなので聴くんだろうけど。
 俺はツアーのときにはCDを持って行っているよ。
 それまでは、レコードプレイヤーを持ち運んで、レコードをバッグにたくさん詰め込んで持っていってたよ。

I.ツターのバスの中ではCDウォークマンを使っているんですか?

W.基本的にラジカセをテーブルに置いてつかっているんだ。とても古いね!

I.ひとつだけ、あなたに訊いて、はっきりさせておきたいことがあったんです。
バンドエイドでトップ・オブ・ザ・ポップス(口パクで有名)に出たときですが、
ボノのパートをあなたは口パクしましたね。(※その時の様子はこちら

あれはどうしたのですが?答えてもらえると嬉しいんですが。

W.いや、まったく何も考えてないよ。何も深いことはないよ。あの日お願いされたんだ。
 ボノがいなかったから背中を押された感じだったかな。

I.あれは今でも恥ずかしいような出来事ですかね。

W.いや、まったく。その時のできごとだからね。今はまったく気にしてない。
 だけど、変な感じではあったね。

I.あなたはこの先、どんなことを成し遂げたいでしょうか?

W.ジャズやブルースの偉人と呼ばれる人たちは、
 亡くなる直前までパフォーマンスを続けているんだよね。
 できるなら、俺もそうなりたい。それだけで十分さ。

以上です。