53歳のポール・ウェラーは今、忙しい。
さまざまなインタビューを受けなければならない、
やらなければならないことがたくさんある。
35年以上も前にザ・ジャムで熱意や怒りを世界にぶちまけて以来、
その曲がらない心を持ち続けている。
そのことは、このインタビューでの落ち着きのなさや、
歯ぎしりや時計をよく見る癖から見ることができると思いきや、
それには別の理由があった。
「学校に行かなきゃ行けないんだよ。」
今では2人の子供の送り迎えに加え、双子の赤ちゃんもいる。
眠れない夜もあるのではないだろうか?どうやって子供に対する愛を見つけているのか?
「愛しているからさ。子供への愛はとても素晴らしい。子供は若さを保たせてくれるんだ。
たとえどんなに手がかかろうとね。子供には冷徹さや悲観的なものが一切ない。
子育てを続けて行けば、とても楽しいんだよ。学ぶことがたくさんあるんだ。」
そんなウェラーだが、自分の輝かしい経歴には興味がなさそうだ。
「世間のみんなが俺の音楽をどう思っているかってことは気にもかけたことがないよ。
たとえ、みんなをとてもガッカリさせてしまったとしても、とても喜ばせたとしても、
とても重要なことじゃないんだ。確かに曲つくりの中で”これは絶対みんな気にいるぜ”って
思ったこともある。「Floorboards Up」とかもっと昔なら「Going Underground」とかな。
だけど俺はとても興奮したけど、みんなはあんまりノッてこなかったことなんてこともあった。」
しかし、その「Going Underground」が少なからず一つの時代における音楽ファンに
ウェラーの存在を定着させたことは間違いない。
それはブラーやオアシスに象徴されるブリットポップ時代に彼が与えた影響をみれば
理解できるだろう。
だが、その輝かしい事実にもウェラーは控えめな態度をとる。
「それは自分の人生のすべての作品を見てから考えるべきだよ。
その中には素晴らしい作品もあれば、良い作品、酷い作品もあるだろ。
それに制作の時にできることは、そんな多くないんだ。
まぁ、たっぷり時間を使って、十分にレコーディングすれば、色々できるかもな。
でも、常に素晴らしいことができる人間なんていないんじゃないか?
俺が知らないだけかも知れないけどな。
とにかく、自分のレコードを振り返ってじっくり聞くことはないよ。
まぁ時々”何かたりないことややってないことがあるな”と感じれば、
それを次のためにいかすよ。」
ウェラーは自分のレコーディングスタジオ『ブラック・バーン』
(※地名じゃなくてスタジオの名前です。ややこしい。)
を生まれ故郷サリー州ウォーキングに持っている。
今回のニューアルバム『Sonik Kicks』でもノエル・ギャラガーや
グレアム・コクソンを招いて制作された。
その『Sonik Kicks』は自由な作品だ。
商業的な成功をモチベーションにはしないウェラーらしい。
とても楽しんで制作され、自己プロデュースも満足のいくものらしい。
それについて、ウェラーは以下のように語る。
「ソングライティングっていうのは、自己満足なビジネスだからな。
だって、自分が喜ぶためのようなもんだろ。誰もやってないようなことを
先に自分がやるっていう喜びさ。」
このアルバムには、妻のハンナさんとのデュエット曲「Study in Blue」のような
ラブソング、イラク戦争への怒りを歌った「Kling I Klang」など様々な内容のものがある。
「俺の音楽には常にロマンチシズムと固くて荒々しいものが共存しているんだ。
固くて荒々しいもの、つまり怒りを表しているものは、意識したものではないんだ。
そういった曲は必要とするときに自然にでてくるものなんだよ。
「これから、じっくり中東のことや誠治のことや銀行家のことを書くぞ」とはならない、
「このことは書かなきゃならないな」っとは思うけど。その点はビリー・ブラッグとは違うんだ。
彼をけなしてるんじゃないよ。ただ、俺はソングライターだってことさ。
頭の中にあるどんなことでも、自分のペンで表現していこうってな感じさ。」
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